【脱!摂食障害】もう食べたくない、もう吐きたくない方へ

「毎日過食嘔吐していて生きているのが辛い…」
「悪魔に魂を売ってもいいからこの生活から抜け出したい…」
この記事は、そんな方へ向けて書いています。

脱!摂食障害カウンセラーの三上さくらです。

私は15年間、摂食障害でした。非嘔吐過食で高校3年生の頃にMAX体重87kgになり、極端なダイエットから拒食症→過食嘔吐を経験しました。

なお、最低体重は43kgです。プロダンサーだったので、かなり筋肉もあったし、試合中は無理にエネルギー補給をさせられていたのでガリガリにはなりませんでした。

私の過去を知りたい方は、こちらの記事から読んでみてください。
>>>私は15年間摂食障害でした。

はじめに

最近、フィギアスケート選手やマラソン選手などのアスリート達が、摂食障害になるニュースを目にすることが多くなりました。厳しい食事制限や体型維持、過酷な減量の影響で摂食障害になる選手が増えているそうです。

強いメンタルを持っているアスリートさえも、摂食障害の闇に陥ってしまう。

一度過食嘔吐の習慣が定着すると、歯磨きをしないのと同じように気持ち悪くなってしまいます。

この状態になってしまうと、もう自分の意志ではどうすることもできません。もっと大きな病気になる前に(命を落とす方もいらっしゃいます)誰かに助けを求めることも検討してください。

とは言え、私は誰にも言えませんでした。

両親にも先生にも友達にも。病院に行くこともできませんでした。食べ物を吐いている自分が愚かで恥ずかしくて、絶対に受け入れてもらえない!理解されない!と思っていたからです。

だから、自分で治す方法を見つけました。何度も挫折して、何度も失敗して…気が遠くなるほど長い時間でした。私の青春時代は摂食障害によって汚染されていました。

もし、私のような青春時代を送っている方がいたら。
もし、私のように何十年も摂食障害に振り回されている方がいたら。

私の治ったプロセスを試してみてください。もしかしたら改善へのヒントがあるかもしれません。

食からは逃げられない!

摂食障害が治りにくいことの一つとして、食べることから逃げることはできない!ということが考えられます。

意味が分かりますか?

例えば、アルコールは飲まなくても死にません。 ですから、アルコール依存症と摂食障害はちょっと違います。

食べることは生きること。

生きるために、食べることは絶対なのです。食べることを完全に断ち切ることはできません。

あなたも、頭では分かっていますよね。私も頭では分かっていました。

それでも…
食べることが怖い。
今よりも痩せたい。
細くなりたい。
そのためには食べてはいけない。
でもお腹が減ってしまう。
食べることを我慢しても、いつか食べてしまう。
どうせ食べるなら低カロリーのもの。
カロリーゼロのもの。
あとは…

こんなふうに、食べてもいいものをリスト化しました。それは自分なりのマイルールとなって、私の生活を支配していきました。

はじまりはダイエットだった。

はじめは軽い気持ちでした。痩せたくて必死になって、世の中に氾濫しているダイエット法を片っ端から試してみたのです。

単品ダイエットなら、豆腐、りんご、バナナ、納豆、キャベツ、トマトなど。
置き換えダイエットなら、こんにゃく麺、酵素ドリンク、寒天ゼリーなど。
運動なら、ウォーキング、ランニング、水泳、ジム、エアロビ、筋トレなど。
その他、サウナスーツ、ゴムバンド、テーピング、縄跳び、燃焼ジェルなど。

最低2週間は継続しました。どれも三日坊主ではありません。日記を付けて記録もしました。でも効果的なものは見つからない。

絶対に痩せる!という表現に踊らされて高価なサプリメントや海外セレブ愛飲ドリンクも買いました。寄生虫ダイエットも本気で検討していました。

優等生タイプで真面目な良い子ちゃんキャラの私は、一度決めたことはとことんやる!という責任感の強い子でした。

ですが、これが摂食障害に繋がってしまったのです。

はじめての嘔吐は快感しかない

5歳〜14歳までクラシックバレエを習っていたのですが、引越しのためにバレエをやめて太っていきました。転校先の中学でいじめられ、ますます過食する日々。高校に入っても痩せない日々が続きました。

強烈な体型コンプレックスを抱えたまま大学生になり、継続するダイエット。ちょっと痩せてはリバウンドするので、なかなか痩せることができません。さらに間違ったダイエット方では、どんどん代謝も悪くなっていきました。

ターニングポイントは、大学で競技ダンス部に入部したこと。クラシックバレエ経験があるので、踊ることは好きでした。でも、自分の体重のせいで、両足疲労骨折になってしまいます。体重を落とさなければ踊れない…踊りのセンスはいいのに、足が痛くて踊れない…どうしよう…葛藤の日々でした。

 

その時の部活の同期の言葉は決して忘れません。

「痩せたければ、吐けば??」

きっと私のことを想って、何気ない言葉だったと思います。

「あ、そっか。」

と納得した自分も悪かったのです。

 

はじめて吐いた日。罪悪感はなく、なんて簡単なんだ!と思いました。そして、吐く回数が多くなって、体重も減っていきました。

こうして私の長い長い過食嘔吐の日々がスタートしたのです。

マイルールとして固定化される

「食べても吐けばリセットされる」というマイルールが固定化されて1年。私はどんどんスマートになりました。もう疲労骨折も完治して、大好きなダンス漬けの日々です。

あからさまに男子の態度が変わりました。今までデブ扱いされていたのに、チヤホヤされることが嬉しくて堪らない。吐くのは苦しくて痛くて辛い時もあるけど、体重が軽くなれば達成感が半端ない。

オシャレも楽しくて、お化粧も楽しくて、友人から「たくさん食べるのに太らないね!」と言われるのが嬉しくて仕方ありません。

当時の私は、いかにスマートに吐くか?ということを追求していました。

長時間トイレに行っても、便秘だったから〜と嘘をついていました。この生活を上手くやっている自信もありました。

たくさん食べても吐けばリセットされるので、どれだけ食べても構わない精神が染みついてしまったのです。

食事量のコントロールができない

普通の定食を食べても物足りない。
一人前の量が分からない。

ま、いっか。どうせ吐いちゃうしね〜

だからこそ食べたいものを食べよう!と我慢していた揚げ物や菓子パン、お菓子など買っては吐いて、スッキリ!という習慣が完成してしまいました。

お金がかかり過ぎて…

「食べたいものを我慢しないで食べる」ことが、月1だったのが週1回になり、どんどんエスカレートしていきました。最終的には365日、毎日過食嘔吐。1日1回で済めばいいのですが、多い日は5回くらいエンドレスで食べては吐いていました。

当時、飲食店のバイトをしていたので、まかないを大盛りにしてもらったり、閉店してから残りモノを食べさせてもらいました。

それでも足りない。

バイト代で、ひたすら食べ物を購入しては吐く。さすがにお金がかかり過ぎる。これでは何のためにバイトをしているのか分からない。

「よし!節約のために断食しよう!」

当時は白黒思考(極端思考)のため、適量を食べて吐かない、という当たり前の考えではなく、そもそも食べなければお金が減らない!と思ってしまったのです。

ここから狂ったような生活がはじまります。

思考を変えるために

食べるか食べないかの二択しかないので、ちょっとでも食べると吐く。どうせ食べるなら、たくさん食べたい!という負のスパイラルに陥ります。

お金を使うことにも罪悪感がある、でも止めることができない。自分は意思が弱すぎる!と散々罵倒しました。それでも食べ物を買ってしまうのです。食べてしまうのです。全て吐いて、またすぐに食べ物を買おうとしてしまう。

異常だ。

ここでやっと気が付きました。

私は摂食障害で、過食嘔吐。

でも、誰にも相談できない。自力で治すしかない。

摂食障害思考と出会う

ある日、摂食障害とは、私の中のほんの一部だということに気が付きました。

ほんの小さな一部分が摂食障害のことを考えて、 摂食障害行動を引き起こしています。

・太るから食べ物を口にしない
・ストレス解消のために食べ過ぎる
・痩せたい願望が強くて吐き出す
・嘔吐しやすくするために無理やり食べる
・食べたカロリーが心配で強制的に運動させる
・食べたことをリセットするために下剤を飲む

これらの行動は、全て摂食障害思考だったのです。

あなたの中にも、このような思考が潜んでいますよね?

この摂食障害思考は、あなたの中のほんの一部なのですが、 とても強くたくましく成長を続けています。 なぜなら、あなたの中の他の部分がとても弱っているから。 他の部分が弱っているせいで、摂食障害思考は急成長しています。

摂食障害以外の思考

あなたの中の摂食障害思考ではない部分は、 前向きで健康的で思いやりがあって、 人間として正しい判断ができる思考です。 私はこれを健全思考と呼んでいます。

このお話をすると、「え?どういうこと??」 と混乱する方がいらっしゃるので、ちょっと健全思考を見つけてみますね。

私は、食べ物を粗末にしている自分が大嫌いでした。 精神的に不安定で、気分のいい時なんて、ほとんどありません。 死にたいほどの嫌悪感。 もう気が狂いそう… いや、もう十分狂っている… これは、自分に対しての感覚です。

一方、他人に嫌われたくない八方美人の私は、 他人にはとても優しく接します。 どんなに馬鹿だと思っても、「仕方ないよ~」と声を掛けるし、 どんなに愚かな行為だとしても、「終わったことは忘れなよ~」と励ましていました。

あれ??? なんで私、こんなに優しいんだろう。

この「友達に接するような態度」という部分が 私の中の健全思考です。 この健全思考を使って、自分に話しかけるとこうなります。

過食してしまった時は、「お疲れなんじゃない?たまにはいいじゃん!」
嘔吐中は、「誰も責めてないから大丈夫だよ~気にしちゃダメだよ。」
嘔吐後は、「次は気を付けよう!今日はダメでも、明日は大丈夫さ♪」

どうですか? この優しさ(笑)

摂食障害行動を起こしている間に、自分自身に対して、こんな優しい言葉をかけたことってありますか?

私はありませんでした。
だって最低な行動をしている最悪な自分です。 こんな私なんて、優しく接する必要ない!優しくされる理由がない! そう思っていました。

あなたはどうですか?

私はこのことに気付いた時、涙が出ました。

ああ、唯一全てを知っている自分が、自分を全否定してたんだな。 他の人だったら可哀想だと思うのに、自分には平気でやってた。 思いやりのない言葉で傷つけて、フォローもしない。 これじゃ、自分が可哀想です。

誰かに認められるために、誰かに愛されるために、何かを必死にやる必要はないのです。

友達が自分に何かをしてくれなくても、助けを求められたら、助けてあげようと思いますよね。あなたは今、助けをもとめているのです。 だから、あなたに優しく対応してあげてくださいね。

摂食障害思考に反論する

摂食障害思考の部分を健全な思考の部分で反論すると思考が変わってくることが分かりました。

今まで何年も摂食障害思考に取り憑かれていたので、健全な部分は弱っています。そのため、頭では分かっているんだけど、やめられない状態が怒ります。

 

では、どうしたらいいのか?

 

反復練習です。

 

例えば…

・食べることは、健康になること!
・食べることが、楽しみに変わる日が必ず来る!
・摂食障害を克服した人がいる!!
・私にもちゃんと食べられる日が来るよ!
・私は食から完全に解放される!

こんな感じです。ひたすら反論しました。摂食障害思考が囁くたびに、反論し続けました。無意識でも言えるようになるくらい反論を呟いていました。

今更ですが、摂食障害克服の道のりは呆れるほど地味です(笑)

食べることを考えないように

とにかく食べることばかり意識してしまうから、違うことをしようを努力しました。

「食」に支配される時間を極力減らすことが改善への最短ルートではないか?という仮説を立てて試行錯誤の日々を送ってみたのです。

摂食障害中は、「食」から解放されたい!と切に願っていました。しかし不思議なことに、もう考えたくない!と思っているにもかかわらず、そのことばかり考えてしまいます。

そこで私が実践した方法は、今までやったことのないことを試してみる。普段の生活の中で、この1点だけを意識してやってみたのです。

簡単にできることは、
・いつもと違う道を歩く
・隣駅のスーパーへ行ってみる
・大き目の本屋で立ち読み
など。

おうちから出たくない日は、
・絵を描いてみる
・水回りをピカピカにしてみる
・パズルゲームをやってみる
など、地味な行動を続けていました。

さらに、過食用の食事を変えてみるのも効果的でした。

私の場合、どうせ吐いてしまうので「割引商品」狙いでした。本当に食べたいものを食べるのではなく、安くて吐きやすいもの優先。グルメでもないし、こだわりもない。だからこそ、いつもと違うものを選ぶようにしてみたのです。

思考を変えたら行動が変わります

必死に摂食障害行動だけを我慢しても、いつまでも食に支配される生活から抜け出すことはできません。だって、我慢・忍耐には必ず限界がやってくるからです。

体重を計らなければ居ても立っても居られない。何も手に付かない。ランニングで10km以上走らないとカロリー消費ができないと怯える。カロリー計算をしてからでないと食べ物を選ぶことができない。

摂食障害行動をしていなかったとしても、これでは違う意味で辛くないですか?

 

私は、本当の意味での「自由=食から解放」されることを目標としています。

表面上で出来たとしても、心から幸せを感じることができなければ意味がないのです。

行動にはタイムラグがある

摂食障害中の視野が狭くなった状態だと、 摂食障害行動が止まらなければ意味がない!と考えてしまいます。

私もそうでした。
どんなに感動する出来事があったり、嬉しいことがあったり、 いつもと違う非日常的な素晴らしい時間を過ごしたとしても、「今日も過食嘔吐してしまった…」 「やっぱり私はダメなんだ…」 「きっと何をやっても治らない…」 そんなふうに考えていました。

でもね、克服した今となってはネガティブワードを連発している状態は、 まだ思考が変わっていません。思考が変わっていないのに、行動は変わりません。ですから、摂食障害行動が起こっても不思議ではないのです。

ネガティブをやめると人生が変わる

今までのことが嘘のように幸せな人生を手に入れた方がいます。

過食嘔吐歴23年のKさん

私が過食嘔吐を治そうとしてさくらさんのアドバイスのもとやってきた取り組みは、食べ物に関わる事を除いては全て、人生を前向きに歩いていくのに必要な事だったと思います。ポジティブな気持ちを持つ、諦めない、弱い自分を認める、そんな自分を深く知ろうとする、希望を持つ、失敗を恐れず一歩踏み出す勇気を持つ、失敗してもあきらめない、強く願う、自分を否定しない。人と比べない。自分を好きでいる事。

これからの人生を幸せに生きていくため、全てが活かせると思います!

解決した事は。
「人の価値は体重で決まる。食べる事は太る事」この呪縛から解放され、自由になれた事です。

さくらさん、本当に、本当に、本当に、ありがとうございました。

過食嘔吐歴20年のYさん

さくらさんに「克服されたことで諦めたことはありますか?」と質問すると…

「何かを得るために、何かを諦めるのは、とても怖くて覚悟が必要ですよね。克服した今となっては、諦めたというより、手放したイメージです。自分の歪んだ思考と体重・体型に支配された生活から解放されました。」とお返事を頂きました。

『手放したイメージ・解放』

この言葉が直球で響き、思考を変えられる最初のキッカケの言葉でした。

いろいろな段階、局面を経てここまで来られたので、我慢することなく、摂食障害思考が消えました。健全な食生活を送ってきて、心がとても穏やかになりました。白黒と物事を判断することも、緩和され、心にゆとりができ、心配性が緩和されました。

何より自分に優しくなれました。
いまとても幸せです。

さくらさん
本当にお世話になりました。
心より感謝いたしております。

過食嘔吐歴15年のMさん

はじめは思考なんて!と思っていました。私も治りたくてあらゆる本を読んでいたので、思考を変えたら全てが上手くいく、摂食障害も治るかも…と勇気を出して、さくらさんに連絡をしました。

私はずっと「私なんて…」と思っていたのですが、この思考のせいで摂食障害を引き起こしていたのだと思いました。もっと楽しくして良かったんだ、もっと笑って暮らしていいんだ、ということに気が付いてから、毎日続いていた過食が止まってきました。

まだ完璧ではないけれど、思考が変わってから行動が変わる、というのも何となく理解できるようになりました。行動として現れるまっで焦ってしまいますが、これからが楽しみになりました。

摂食障害だけでなく、仕事や人間関係にも役立つ思考術を知れて良かったと思いました。心よりお礼申し上げます。

本当の幸せとは

罪悪感なく、納豆ご飯を食べることは、本当に幸せです。
罪悪感なく、クレープを食べた時の感動は言葉には表せません。
罪悪感なく、ビュッフェで好きなものを選んでいる時は涙がでそうでした。

これって、普通の人より幸せの沸点が低いことだと思います。

食に関すること以外のボーダーラインもとても低くなりました。

カロリー消費のためじゃない、楽しいと思える運動も幸せ。家にひとりでいる時間に、普通に家事をすることができて幸せ。おひとり様時間が充実して、自分磨きのためにお金が使えて幸せ。美味しそうな食事シーンの映画を観てもイライラしない。 友達と遊びに行ったり、家族で旅行に行ったり。

摂食障害中は苦痛でしかなかったことが、今の私にとっては全てが特別なこと。

こっちが本当の幸せ。普通で幸せ。

おわりに

「毎日過食嘔吐していて生きているのが辛い…」
「悪魔に魂を売ってもいいからこの生活から抜け出したい…」

そんな絶望的な日々を送っている方へ、少しでも希望を持ってもらえるように書きました。

今は苦して信じられないかもしれませんが、思考が変われば必ず治ります!この記事にたどり着いている時点で、すでに克服への第一歩です。

だって、克服した私に引き寄せられたのだから。