摂食障害の娘を持つ母親が絶対にやってはいけない3つのこと

脱!摂食障害カウンセラーの三上 さくらです。

先日、摂食障害の娘を持つ方にどうしても知ってもらいたいことという記事を書いたら、とても反響がありました。

ご家族が摂食障害で悩んでいる場合、ご本人も苦しいのですが、一緒にいる方も辛いと思います。

何かやってあげたい!
どうにか救ってあげたい!
自分が考えられることは全て試してみた。

でも、上手くいかない。
どう接していいか分からない。
どうしたらいいか困っている。
と疲弊している方がとても多くて胸が痛くなりました。

本日は、もし私に摂食障害の娘がいたら絶対にやらないことをお伝えしようと思います。

はじめに

まずはじめに、これだけは断言しておきます。

あなたの娘さんが摂食障害になったのは、あなたのせいではありません。

私の育て方のせいかもしれない…
夫婦仲が悪くて環境が悪かったせいかも…
子供に期待し過ぎた私がいけなかった…

もしこんなふうにご自分を責めている方がいらっしゃったら、どうか自分を責めないでください。自分を追い詰めないでください。

あなたのせいではないのです。

 

世の中には、あなたの想像を絶する環境で育つ子供もいます。そのような子供たちが全員、摂食障害になるわけではありません。ですから、あなたのせいではありません。

 

まずは、そのことを信じてください。

 

私だったら絶対にやらないこと

ご本人以上に色々なことを試したと思います。本を読んだり、ネットで調べたり、食事法を取り入れたり。自分なりに勉強をして、いろんなセミナーに行って。

それでも娘の症状が良くならない、と嘆いているかもしれません。

 

焦ってはダメです。

 

母親の焦りは子供に伝わります。そして、私だったら絶対にやらないことは以下の3つです。

・娘の食事をコントロールする
・娘の思考をコントロールする
・自分の思考を知らないまま行動する

これら3つのことをやっていないか?ご自分の心に聞いてもらえますでしょうか?

 

もし、そんなことはしていない!無理させないように、本人の意思を尊重している!と思っている方がいらっしゃったら、
「どうしてそんなに食べないの?(食べるの?)」
「食べたくなかったら食べなくていいよ。」
「女の子はポッチャリしている方が可愛いよ。」
と言った記憶はありませんか?

あなたが何気なく使った言葉に摂食障害中は過剰反応してしまうのです。もう少し詳しくお話しますね。

・娘の食事をコントロールする

摂食障害の初期は、極端に食べない、断食するなど、過激なダイエットに見える症状が現れます。その時「ちゃんと食べないさい」「もっと食べないとダメよ」と言ったことはありませんか?

 

「あなたが心配だから」

 

娘のためを想って言った言葉ですよね。

でも、娘さんの様子はどうでしたか?ニコニコ笑って「そうだね!お母さん、ありがとう!」と言いましたか?そういう子はそもそも摂食障害にはならないと思いますが。

その時の娘さんの心の中はきっとこうです。

「分かってくれない」

 

些細なすれ違いが起こると、だんだん修復が難しくなります。

 

食べる量がコントロールできない、むちゃ食いをしている場合も同じことが言えます。「そんなに食べて大丈夫?」「まだ食べるの?」と言ったことはありませんか?

見た目を気にするお年頃。心は繊細です。

あなたは思ったことを口にしただけだと思いますが、ご本人はとても傷ついているかもしれません。

 

「コントロール」という言葉を見ると、そんな大げさなことはしていない!と思うかもしれませんが、娘さんの食事内容、食べているものに対して何かしらのコメントをする、自分の考えを伝えた経験がある、という方は少しストップしてもらえますか?

摂食障害を抱えている方への対応法もお伝えしますので、どうか最後まで読んでみてください。

・娘の思考をコントロールする

娘さんが何を考えているか100%理解している親はいないと思います。なぜなら、人間は自分の思考すら1割も認識していないのです。9割以上は、本人すら自覚できない潜在意識にあります。

つまり、自分のことも完全に理解していないので、自分以外の人のことを完全に理解することは不可能なのです。

 

その前提があって、娘さんの思考を考えたことはありますでしょうか。

 

痩せたい。細くなりたい。可愛くなりたい。誰かに恋心を抱いている。友達との付き合いに悩んでいる。先生の言葉にショックを受けた。試験や受験が想像以上のストレス。将来への不安。

本人が自覚できていない思考を、親が完全に理解して、それに対してアドバイスなんてできません。

 

私も同じです。

だから本人に聞いて、本人から出た言葉だけを使っています。

 

家庭でのコニュニケーションのやり方を見直してみてください。

「今日、学校で◯◯したよ」

これは事実です。が、その事実に対してどのように感じたか?は本人にしか分からない。いや、本人すら分からないことなのです。

 

どうか娘さんの考え方を変えよう!と努力することはストップしてください。

・自分の思考を知らないまま行動する

これは、摂食障害に苦しんでいる本人ではなく、あなたに質問です。

あなたは、自分が考えていることを100%理解して常にベストな行動をしていますか?

人間は1日に6万回思考しています。どうでもいいこと、些細なこと、過去のこと、常に思考しています。

今日の晩御飯どうしようかしら?あ、今月中に振込しないと!あれやってこれやって…起きている時間は、いろいろなことを考えていますよね。

そして、娘のことも気になる。

娘に対してどうやって対応しようかしら?なんて声をかけようかしら?また無視されるかな。昔みたいに笑ってくれたらいいのに…

いろいろなことを思考して、いざ娘さんを前にして出た言葉はどんなことでしょうか?

やっぱり心配だからと、自分の考えを押し付けていませんか?

心配なの。あなたを愛しているから、あなたに治ってほしいから、だから…

 

これでは、同じことの繰り返しです。

このままでは、娘さんの摂食障害どころか、家族の会話も少なくなってしまいます。

母親が目指すこと

私が求めていたものは、理解者です。私の苦しみを共感してくれる人。

 

でも、共感してくれる存在がいても治りません。

 

共感されて治るくらいなら、とっくに治っていると思います。

 

だから、あなたは最強のセコンドを目指してください。フォローして、サポートして、娘さんの精神安定剤になってください。

摂食障害思考について

ここで、摂食障害中の思考についてご説明しますね。

摂食障害行動は、摂食障害思考によって起こります。擬人化すると分かりやすいので、私の例を聞いてください。

私には、G子ちゃんという闇の自分が存在しました。

食べたら太る。
痩せたいなら吐け。
太ったら惨めだ。

G子ちゃんは、私にネガティブな情報を語り続けました。

どうしても痩せたい。
もっと細くなりたい。
もっと、もっと!と求めている時の私は、G子ちゃんの声に耳を傾けました。

 

本当の私は、
食べることは生きること。
人は見た目ではない。
吐くことは良くないこと。
と、頭では理解しているのです。これを健全思考と呼んでいます。

ここで気を付けて欲しいことは、あなたは娘さんの摂食障害思考と闘わないでください。闘ったら必ず負けます。なぜなら、本人の言葉が一番強いから。親の言葉は二の次なのです。

そして、情に訴える方法もNGです。

心配するという呪い

ママ、あなたが心配なの。
あなたに元気になってほしいの。
幸せになって欲しいの。

親だったら娘の幸福を願っています。当たり前ですよね。だから、摂食障害で苦しんでいる娘さんのことが心配なんですよね。

でも、本人になって考えてみてください。

「ママはあなたのことが心配なのよ。あなたを愛しているから。」

残念ながら摂食障害思考に支配されている娘さんの思考は「私、ママからダメだと思われている。可哀想に思われている…」こんなふうに捉えてしまいます。

すると、ダメだ、可哀想だ、と思われているという本人の思い込みが心に刷り込まれてしまいます。心配しているだけなのに、娘さんにとっては呪いの言葉となって刻み込まれます。

心配しているのは、あなたの問題なのです。あなたの潜在意識が不安でたまらないのです。私の娘が幸せになれなかったらどうしよう…って。

まずは自分から

ここまでのお話を聞いて、今までの接し方に疑問を抱いたかもしれません。摂食障害克服は本当に難しいのです。すぐに治るなら、私も15年間も長引かなかったと思います。

でも、心配ですよね。
だって、娘だもん。

早く治してあげたいですよね!

そのムズムズする気持ちで間違った行動をしないように、具体的な対策を練っておきます。

まずは母親であるあなたの思考を変えてください。できたらマイノートを準備して、あなたの思考を言語化(見える化)する作業を練習してください。

マイノートに書き出すのは、このステップです。
・不安なことを全て書き出す
・深掘りして本当の望みを分析する
・今とは違う言葉・行動を考える
・あらゆる選択肢を準備しておく

大切なことは、自分に嘘を付かないことです。誰も見ませんので、綺麗事や倫理的に正しいことを書いても意味がありません。

例えば、
・娘が心配でたまらない
⇒ひとりの人間として、自立した女性に成長してほしい
⇒あんなに可愛かったのに!今では反抗ばかりでムカつく!
⇒もう赤ちゃんではないから、本人の気持ちを尊重しよう
⇒いつでも味方になる覚悟を決める、あなたのためなら引越しもOK!という心構えでいる。

・パパが無関心でイラっとする
⇒父親が非協力的でも娘の摂食障害は治る
⇒どうして私ばっかり責められるの?あなたの娘でもあるのに、どうして私ばっかり。人任せにして。家事も手伝ってくれない。仕事と結婚すればいいじゃない!
⇒誰かのせい、環境のせい、不満ばかりではネガティブな思考になっているから気を付けないと!
⇒夫との関係性を見直す、家族の会話を増やす、旅行プランを考える。

など、ワンパターンにならないように、あらゆることを想定して、いろんなシナリオを考えてみてください。

あなたの思考がネガティブな状態では、摂食障害思考に支配されている娘さんには何を言っても伝わりません。

そして何よりも、ママはあなた以上にあなたが治ることを信じている!とドーンと構えていてほしいのです。

本当の幸せを目指す

ちょっと質問です。
娘さんが摂食障害を克服しないと不幸でしょうか?

世の中には、五体不満足の方、不治の病と闘っている方、不自由な体で生活している方、子供が欲しくても産めない方、幼い子供を失った方、いろんな方がいらっしゃいます。

摂食障害に振り回されている本人やご家族は、どうしても視野が狭くなっているので、自分ばかりが苦しいと勘違いしています。

365日、起きている時間、常に深刻に捉えていませんか?食事のことを考えるから不安になるのであって、他に楽しいことは1つもありませんか?

反対に、娘さんの摂食障害が治れば全てが上手くいくのか考えてみてください。

仕事、お金、人間関係、恋愛、家族、子育て、夫婦関係、健康など、あらゆることで悩んでいる方がいます。娘さんの摂食障害が治っても、他の悩みが必ずやってきます。

大切なことは、本当の自由を知って、本当の幸せを目指すことなのです。

娘さんの摂食障害克服がゴールではありません。

受験と同じ。合格することがゴールではなく、それはスタートラインに立ったということ。もっと先の未来を感じてください。

娘の摂食障害思考に負けないために

あなたが娘さんの摂食障害思考に飲み込まれないためには、気分転換が重要です。

だって、あなたの人生だから。

娘さんの人生は娘さんのだから。

自分の人生を楽しんで欲しいです。健全思考の娘さんだって、そのことを望んでいるはずですよ。そこで、意識的に行動を変えるための気分転換リストをご紹介します。

今からお伝えすることは、当たり前のことがたくさん書いてあります。ですが、とある魔法の言葉を添えてあげると、とっても素敵なことに変化します。

それは「いつもよりちょっとだけ丁寧に」というフレーズです。自分がやってみたいと感じたもの、これなら今すぐ試せるかもしれない!と思ったもの、 どんなことがあるか眺めてみる、自分だったらこんなことをやりたい!とマイノートに書き出すなど。

少しでも気持ちが楽になるための方法を見つけてください。

1:深呼吸をする
2:空を見上げる
3:履物をそろえる
4:洋服の手入れをする
5:爪の手入れをする
6:ハンドクリームをぬる
7:洗顔をする
8:頭をマッサージする
9:ボディブラッシングをする
10:ふくらはぎを揉む
11:ストレッチをする
12:朝時間を大切にする
13:ベッドメイクをする
14:アイロンをかける
15:洗濯物をたたむ
16:フローリングを水拭きする
17:写真を撮る
18:大型本をめくる
19:自然と触れ合う
20:土の上を歩いてみる
21:筆ペンで文字を書く
22:手紙を書く
23:美術館巡りをする
24:かもめ食堂を観る
25:お弁当を作ってみる
26:本棚の整理をする
27:PCやスマホのデータを整理する
28:ターシャ・テューダーの絵本を見る
29:ベニシアさんの暮らしを真似する
30:聖書を眺める
31:英字新聞を眺める
32:英語で日記を書いてみる
33:クラシック音楽を聴く
34:スパークリングワインを飲む
35:死ぬまでにやりたいことリストを作る
36:コーヒーを淹れる
37:持ち物の点検をする
38:革製品のメンテナンスをする
39:何もしない日を作る

本人が苦しんでいる時に、一緒に苦しんであげることは大切だと思います。しかしながら、克服させるために必要なことは、本人を導く強さが大切なのです。

さいごに

私は親に言えませんでした。

克服した今、ひとりだったから長い時間がかかってしまった。もっと早く誰かに話していれば良かった…と思っています。

はじめの一歩は本人の意思で踏み越えなければなりませんが。

 

でも、この記事を読んでくれている方がいるということは、理解者がいるのだという希望が持てます。

摂食障害は不治の病ではありません。

が、蓄積したネガティブな情報、体型・体重・カロリーなどの歪んだ情報があなたの大切な人を汚染しているのです。

カロリー表示が義務化される前だったら、こんなにカロリー計算していたでしょうか?糖質制限をすると痩せる信仰が流行ったのは最近のことではないでしょうか?カロリーゼロ、糖質オフ製品のCMが多いのは、日本が飽食だからではないでしょうか?

 

真面目な娘さんは、あらゆる情報に流されて、思い込んでしまっているのです。摂食障害思考に支配されている状態では、どんなに外野が叫んでも聞こえません。自分に都合の良い情報しかキャッチできないのです。

 

だから、まずはあなたの思考を変えてください。

 

娘さんを取り巻く環境、食への感情、痩せ信仰など、まずは知る。

 

そして信じてください。

私が治ったのです。

治った私に引き寄せられているのです。

娘さんは絶対に治ります。

 

本人以上に強く信じてください。

 

あなたが信じているということが、本人にとっては希望なのです。