摂食障害人生は、体重・体型・カロリーに支配された生き地獄

脱!摂食障害カウンセラーの三上さくらです。

この記事は、今まさに摂食障害という闇の中を彷徨っている方のために書いています。

拒食症、過食症(非嘔吐過食、過食嘔吐含む)は地獄のような日々でした。もう思い出したくもない。最低最悪の暗黒時代。

私は、摂食障害を克服して3年目。

どうやって、この地獄から這い上がることができたのか?
どうやって、苦しみの中に希望を持つことができたのか?

さらに、
2度と地獄に堕ちないための方法もお伝えします。

はじめに

摂食障害は、小さな悪魔の囁きからスタートしました。

もっと痩せたら可愛くなるよ。
もっと細くなったらモテるよ。

外見コンプレックスの私にとって、見た目が変わることは非常に魅力的でした。男子からいじめられたり、好きな先輩から女性扱いしてもらえなかったり。私の青春時代は、自分の見た目の醜さとの闘いでした。

「内面を美しくすればいい」

そんなことは分かっている!
でも、そんな綺麗事では済まされない!
可愛い子ばかり彼氏が出来る。
細くてスタイルが良い子ばかりが彼氏と一緒に下校する。
性格ブスばっかりのくせに!
男に媚びる女どもが許せない!
デレデレする男が許せない!

心が歪んでしまった私は…

痩せたら、可愛くなれるという幻想。
細くなったら、彼氏ができるという妄想。

に取り憑かれて、ますます残念な日々を過ごしていました。

ダイエット期

5歳からクラシックバレエを習っていたので、「ダイエット」というワードが周囲に溢れていました。小学校低学年までは、

周りのお姉さんたちは大変だな~
食べたいものを我慢してるんだ~

と漠然と捉えていました。

しかしながら、小学校高学年、中学生になり、身体が大きくなって。発表会の衣装合わせで、レンタル衣装が入らない…という、とても恥ずかしい状況になりました。それからは常にダイエットをしている状態が続きました。

食べたいモノは我慢。お菓子も我慢。デザートも我慢。それが普通。

でも子供の我慢なんて、母親の「たまにはいいのよ~」という一言で吹っ飛んでしまいます。だから、ゆるゆるダイエット人間でした。

過食期(非嘔吐過食)

ゆるゆるダイエッターなので、もちろん痩せません。それなのに…

「痩せない私は可哀想」
「お母さんが食べさせるから」
「男子にからかわれた」

と不平不満ばかり言っていました。さらに…

「我慢しているからストレスで禿げそう」
「こんなに辛いならバレエやめたい」
「もう学校に行きたくない」

と、どんどんネガティブになっていきます。

可哀想な自分を癒すために、大食い。
そして過食が始まりました。

私って、
どうしてこんなブスなの?
どうしてこんな体型なの?
どうしてももっと可愛く産んでくれなかったの??

そう思っては、ひたすら食べる日々。

「成長期はぽっちゃりくらいが丁度いい」という両親の言葉にそそのかされて、何かを満たすために、私は食べ物を摂取しました。

とにかくイライラして、暴言を吐いて親を泣かせました。親に対して酷いことをしている自覚もあったので、そのストレスも過食で紛らわしていました。なんて悪循環だったのでしょう。

だんだんと人前で食べることが恥ずかしくなって、お小遣いで菓子パンやポテトチップス、カップ麺を買ってきて隠れて食べていました。当時のバイト先が飲食店だったので、まかないも物凄い量をいただいていました。

当時の身長・体重が、158cm 87kgになって(父親の体重よりも重くなって)女として生きていることが恥ずかしくなりました。体重・体型でしか判断できない人間になっていたのです。

拒食期

太っている自分を許せない。
食べている自分が恥ずかしい。
なんとかして痩せないと。

極端な性格の私は、自分の体重が苦痛の日々を過ごしました。そして、そろそろ真剣にダイエットをしよう!と、ストイックなダイエットをスタートさせました。

食べなければいい!と安易な考えになった私は、水分(カロリーゼロ飲料)だけは飲んでいたので、何とか普通の生活を送っている自信がありました。食べ物(固形物)を一切口にせず、激しい運動をする生活スタイルになったのです。激しい運動とは、マラソンや長時間サウナに入ったり、ホットヨガをすること。

当時の私は、太っているから全てのことが上手くいかない!自己暗示をかけていたのです。

そして、痩せたら何かが変わる。まるで着ぐるみを脱ぎ捨てるように、肉の呪縛から脱皮したい!という強い変身願望が、自分を全否定していました。

今は太っているからダメな状態であり、本当の私の姿はこんな醜くない。だからもっと痩せなければいけない。

過食地獄とは違った苦しみ。でも、みるみる痩せていくことに魅力を感じました。さらに食費を使わないから嬉しい!お金が減らない!と思っていたのです。

この頃の身長・体重は、163cm 47kgまで落ちました。

大学四年間で、40kg減量しました。異性からチヤホヤされて嬉しくてたまらない。今までゴミ扱いされていた自分が渋谷を歩いていると声を掛けられる!凄い!嬉しい!女性扱いしてもらえる!ナンパされる!こんなのはじめて!

興奮しました。痩せたら人生が変わる!そう思いました。

 

でも、カロリーゼロ飲料だけでは生きていけません。

食べたくて仕方がない。

ディナーに誘われても食べられないのでドタキャンばかり。一口でも食べることが恐ろしくて、誰ともお付き合いできませんでした。

食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。

もう我慢することに疲れた。我慢ばかりの人生なんて、何が楽しいのか分からない。生きていることの意味が分からない。

拒食症の沼

拒食症の沼から抜け出せない。それには、3つのメリットがあったからです。

一つ目は、食べていなから痩せていくだろう!という安心感。
食べなければ痩せる。実際に固形物を食べなくなって、みるみる痩せました。

しかしながら、47kgからなかなか痩せることができなくて苦しみました。やっとの想いで43kgまで落ちました。が、代謝の悪くなった身体は、そこからは全然減らなくて毎日イライラして、運動量だけが増えていきました。疲れやすい身体になっていたので、ひたすら半身浴をしていました。

二つ目は、食費がかからないこと。節約しているという満足感。
食事にお金を使うより、自分磨きにお金を費やしている自分が凄い!と思っていたのです。脱毛やネイル、美容院にお金を使っていると、自分が綺麗になっていくようで嬉しかった。そうしている自分は、女子力が高くてイケてる!と思い込んでいたのです。

実際は、貧血でフラフラ、ピンヒールで疲れて姿勢も悪い、サイズダウンした洋服は身体に合っていない、お肌ボロボロ、栄養不足で髪は抜けて薄くなっていました。それでも浮き出た鎖骨や肋骨に安堵感がありました。胸は削げ落ち、干しぶどうみたいな乳首だけ。とても女性的な身体ではありませんでした。

三つ目は、ストイックなダイエットができている優越感。
「ダイエットは明日から」と、ほざいている女子を見下していたのです。

ダイエット中だと言っているくせにケーキを食べている女子を見て、自分は自己管理が完璧にできている!私は出来る人間なの!あなた達とは違うのよ!と思っていました。

こんなに苦しいなら、やらなければいいのに。当時の私は、自分の固定概念を崩すことができなかったのです。

そして、最も恐ろしい時代がやってきます。過食嘔吐です。

過食嘔吐期

食べたものを吐き出す習慣は、まさに地獄のようでした。今、思い出しても胸が苦しくなります。

さらに、いつまで経っても治せないことにイライラして、焦って、その不安を過食で紛らわす。太ることが怖くて、食べたら吐かないとダメだ!という強迫観念に潰れそうでした。

過食嘔吐の沼

食べたかったものを我慢しないで食べることは喜びでした。

ラーメン、とんかつ、唐揚げ、天ぷら、白米、カレー、うどん、寿司、ピザ、ケーキ、シュークリーム、アイス、菓子パン、とにかく食べていました。ホールケーキは3つが基本、替え玉OKのラーメン屋さんでは、8玉食べて、女子の記録保持者になりました。

1,000円の食べ放題でどれだけ食べられるか?
デパートの試食でどれだけタダ食い出来るか?
回転寿司で何皿くらい食べられるか?
フードファイターとしてデビューしようか?

ということばかり考えていました。ちなみに、回転寿司では50皿以上が当たり前。あらゆるお店のチャレンジメニューに挑戦して、全て食べ切っていました。(神楽坂にある一升チャーハンだけは苦しかった記憶があります。)

たくさん食べる女の子はいいね〜
しっかり食べる子は見ていて気分がいい!
面白い子だね〜こっちまで楽しくなるよ!

と言ってくれる人がいたので調子に乗っていました。「えええ!そんなに食べるの!?」と言われる快感にハマっていきます。

本当の生き地獄

調子に乗った日々を過ごし、過食費用がとんでもないことになって。過食嘔吐が止められない本当の地獄がやってきました。

食べ物に夢中で、スマートに吐くことに関心があり、どれだけ痩せられるかを求め、自分より細い人に嫉妬して、そんな自分が恥ずかしてくて、情けなくて…

そんな状態になっても、自分自身の意志ではやめることのできない過食嘔吐に苦しんでいました。

孤独、絶望、嫉妬、苦しみ、悲しみ、恐怖、劣等感。

そんなことしか考えていなかったので、心の中はいつも真っ暗。思考も真っ黒でした。

さらに、摂食障害の合併症に悩まされたのも過食嘔吐になってからでした。脳機能低下、偏頭痛、うつ、自律神経失調症、不安神経症、パニック障害、アルコール依存症、不眠症、薄毛、むくみ、低体温、低血圧、貧血、吐きダコ、逆流性食道炎、胃痛、月経不順、無月経、便秘など。(拒食症時代も無月経でしたが、食べていなから当たり前!とどこか割り切っていたのです。)

それでも食べて吐く生活が止められない。生き地獄とは、まさにこのことだと思いました。

抜け出すための方法

私が摂食障害から抜け出せたステップは…

1:思考を変えて
2:行動を変えて 
3:習慣を変える 

ことに尽きます。

そして、その道のりはとっても地味でした。

摂食障害中は、全てのことが白黒思考(極端思考)です。 なぜか、自分が白黒でしか物事を判断できなくなっていることすら分かっていません。 無意識にグレーゾーンを省いてしまいます。視野が狭い状態。

摂食障害思考の場合、自分で設定したマイルールより、少しでもオーバーしたら全否定!直ちにリセット願望が発動します。 だから、食べたら吐きたくなる仕組みがすっかり形成されてしまっています。

大切なことは、白黒思考で判断しないこと。自分を許すゾーンを用意すること。 

自分の中にある思考を知る

同じモデルさんを見て、

「スタイルが良くて素敵な人だな〜」と感じる人。
「胸がなくて女性として貧相じゃない?」と思う人。
「なんて私は太っているんだろう…」と自分を責める人。

いろんな方がいらっしゃると思います。どうして同じ人を見ているのに、感じ方が違うのでしょうか?

それは、みんなの思考が違うからです。

そして、摂食障害になるタイプは、「なんて私は太っているんだろう…」と自分を責める人ですよね。

 

人間は1日6万回の思考をしている、と言われています。 6万回の思考の中で、摂食障害思考で考える癖を意識して変えなければなりません。

摂食障害中は、あらゆることを摂食障害と直結して考えてしまう傾向があります。摂食障害思考があなたのデフォルト(初期設定)されてしまっているからです。

二度と地獄に戻らない

この思考を切替えるための一番簡単な方法は、深呼吸することです。  深呼吸をしながら、自分の中の健全思考を呼び起こします。

「摂食障害思考ではなく、白黒思考・極端思考ではなく、健全思考よ、よみがえれ!」

6万回の思考の中で、どのくらい健全思考を呼び起こせるか、試してみてください。 健全思考が戻ってくると、ポジティブな発想が生まれてきます。

これは訓練です。

やればやるだけ強化されていきます。そして、一度でもコツを掴むと、その後はちゃんと機能します。補助輪を外した自転車に乗れるように。

いつまでも摂食障害思考放し飼いにするのは、もう止めにしてください。

>>>摂食障害思考を知る方法はコチラから。
頭では分かっているのに、なぜ過食嘔吐が止まらないの?

さいごに

思考の違いで、見ている現実が変わってきます。現実を地獄にしているのは、あなた自身なのです。

はじめは信じられませんでした。辛い現実を創り出しているのが自分だなんて思いたくなくて逃げてばかりいました。自分を正当化することに必死でした。

 

でも、思考は現実化します。

 

あなたの中の、どんな思考が現実化した結果が摂食障害だと思いますか?生き地獄を創り出した思考は、どんな感情だと思いますか?

 

どうか怖がらないでください。

 

どうやって、私がこの地獄から這い上がることができたのか?
どうやって、苦しみの中に希望を持つことができたのか?

 

全ては自分の思考次第と知る。

 

2度と地獄に堕ちないための方法は、地獄だと感じている思考を手放すことです。なぜなら、自分の思考次第で、地獄から逃れることができるのですから。