二度とダイエットはできない?ダイエットと摂食障害の境界線

脱!摂食障害カウンセラーの三上さくらです。

この記事は、

・摂食障害を克服するためには、ダイエットしてはいけないのか?
・自分はダイエットしてるだけ!過酷なダイエットと摂食障害の違いは?

という質問・疑問にお答えする記事です。

 

私のクライアントさん「あるある」なんですが、過酷なダイエットから摂食障害になってしまうので、もう二度とダイエットできない!と思い込んでいる方がほとんど。

 

別にそんなことはありません。

摂食障害を克服するために、いったん激太りすればいいとも思いません。要は、考え方なのです。

はじめに

この記事を読んでいるということは、おそらくダイエットではなく摂食障害なのだと思われます。

「自分の食生活が異常だ」と気付き始めて、「でもどうしたらいいのか分からない」という状態かもしれません。

 

まず、地球上にたった一人で生きているとしたら…

外見って気にしません。

 

人によく思われたいから、オシャレをしたり、お化粧をしたり、身だしなみを気を付けたり、自分磨きをするのです。特に「見た目を変えたい!」と思ったら、ダイエットをする。

 

なぜ?

 

ダイエットして痩せたら、今より素敵な女性になれるから。

 

私も素敵な女性に憧れるし、自分もそうなりたい!と強く感じます。ただし、外見と内面の比率が大切だと思っています。

 

摂食障害(特に拒食と過食嘔吐)は、短期間でものすごい「外見の変化」を与えてくれます。それは奇跡のように嬉しいことでした。でも、本当は呪縛だったのです。

外見の変化

ダイエットの成果が出てきて、痩せたら嬉しいですよね〜ダイエットを頑張っている自分にご褒美をあげたくなるくらい!

 

「外見の変化」って、目に見えるので確認ができます。

 

体重計の数字やウエストのサイズなど、目標数値に向かっている状況が分かるので、楽しくなります。だって、痩せたら素敵な女性になれるから嬉しくて仕方がない。

「痩せたら、あんな服を着ようかな〜」
「体重が落ちたら、ケーキのご褒美☆」
「友達の結婚式までにウエスト絞るぞ!」

という気持ち。こういうのは女性として応援しますので、どうぞご自分の判断で頑張ってください!!世の中にはあらゆるダイエットがあるので、自分で判断して選択して、どのような未来を手に入れたいのか?を明確にして。

ダイエットとの違い

「自分で判断して選択して、どのような未来を手に入れたいのか?」

をしっかりできているのがダイエットだと思います。一方、

・自分の意志とは関係なく過食が止まらない。
・食べない!もしくは食べたら吐く!という極端な選択しかない。
・未来へのビジョンがなく、「痩せること」が目的になっている。

これは、すでに「摂食障害思考」に乗っ取られている状態です。

摂食障害思考については、下記の記事を読んでみてください。

頭では分かっているのに、なぜ過食嘔吐が止まらないの?

短期間で結果が出せる

ライザップではありませんよ〜

拒食の場合、今まで摂取してきた食べ物を食べないのですから、そりゃ痩せますよね。

過食嘔吐も同じ、食べ物を消化する前に吐き出すので、そりゃ痩せます。当たり前です。

 

摂食障害になる方はもともと努力家なので、ものすごく「我慢」できてしまう。だから、なるべく食べないで頑張ってしまいます。

食べ物がない時代(戦時中など)だったら、我慢を超えても食べるものがありませんから、どうにもならない。仕方がない。食べたいけど食べられない。頭では分かっているから、なんとか耐えます。生きることに必死だから、なんとか生き延びようとします。

でも、現代日本には食べ物が豊富です。安くて美味しいものが、すぐに買える環境。頭では分かっているから、どうしても食べたくなってしまう。コンビニが24時間営業になったことも、過食や過食嘔吐がやめられない原因かなと、今では思います。

 

ここで忍耐強く挑んだ人だけが、未知の世界に踏み込んでしまう。摂食障害という闇の世界です。

 

私は、三日坊主の人を「意思が弱い!」と決め付けて、心の底ではバカにしていました。

・だから太るんだよ!
・痩せたいのは口だけかい!
・私は違う。私は強いの!

と思って、ひたすら摂食障害街道をまっしぐらに転がり落ちていきます。

 

食べ物の誘惑に耐えられたのは、痩せた事実があるから。痩せたことで嬉しいことがあるから。メリットがたくさんあるから。

初期段階での摂食障害のメリットは、

ダイエットより結果が早い。みるみる変わる!
ダイエットサプリを買うより、食べないほうが安上がり!
運動でカロリー消費するより、吐いてしまえば時短になる!

この段階では、まだ罪悪感と後悔よりも、痩せて嬉しい!という感情が強い。だから深刻にならずに、ひたすら拒食と過食嘔吐を繰り返してしまいます。

支配されていく脳と心

だんだんと「どうして痩せたかったのか?」という根本の目的を見失って、痩せること自体に価値を感じてきます。

好きな人がいて、もっとよく思われたい!
告白する前に、もう少し痩せて自信をつけたい!

こんなピュアな感情も、痩せたらもっといい人がいるかもしれない。という欲望に飲み込まれていきます。

 

そして、じわじわと体重計の数字やカロリーの数字に惑わされていく。0.1グラムでも少なくなればいいと願う。カロリー表示が小さい数字であればあるほどいい。このようなマイルールが構築されてきます。

 

それまでは痩せて嬉しい!と純粋に喜んでいたのに、

・もっと痩せないと!という強迫観念
・痩せていない自分はダメなんだ…という自責
・そろそろ普通の食事をしないと…という不安
・普通の食事をしたら太ってしまう…という恐怖
・自分が異常だ!と思っているのに、抜け出せないことへの動揺と混乱

上記のような気持ちを忘れるための過食。一時的なストレス解消のための過食。これが中期段階でのメリットです。

一時的なスッキリ感とリセットできる喜び。
また、周りから「変わったね、痩せたね」と言われる優越感など。

 

摂食障害に後期ってあるのかな?中期に突入したら、そのまま末期状態になる気がします。

末期段階でもメリットがあるから、摂食障害は治りません。

例えば、

・今までと同じ習慣で安心する(新しい習慣が怖い)
・マイルールを守っていれば太らないという安堵感
・過食は唯一の趣味、ストレス発散方法(だと思い込んでいる)
・痩せている事実と他人からの評価が嬉しい

こんな感じ。心の底では怖くて仕方がないのに、表面しか見ていない。だから他人のことも外見しかみない。自分の見た目しか判断できない。

頭では正常な判断ができているのに、行動ができない。行動できない自分はダメ人間だ!と四六時中自分責めをしている。とても苦しくて、情けなくて、悔しくて、泥沼状態。完全に摂食障害思考に乗っ取られてしまった状態。

 

ダイエットとの大きな違いは、自分が主権を握っていないことです。

ダイエットとは◯◯である。

どんな言葉が思い浮かびましたか?

多くの方が「痩せること」である。または、辛い、苦しい、やりたくないなど、ネガティブワードが出てきたのではないでしょうか?

 

摂食障害が治った今の私は、

ダイエットとはコントロールである。

という言葉が一番しっくりきます。

健康を維持するため
スタイルを維持するため
いつまでも若々しく活動するため
自分を好きでいるため

 

コントロールとは、自分をがんじがらめにすることではありません。

 

自分が心身共に健康的になることを実践する。
パフォーマンスアップのための努力をする。
自分のモチベーションを上げる方法を知っている。
長い人生を心豊かに暮らすことを目指している。
長期的なプランを練ることが出来る。

このような考えが自分をコントロールすることだと思っています。

 

 

摂食障害って、

今が良ければいい。
直近だけ良ければ、それでいい。
健康より「見た目」重視。
痩せている今の快感が大切。
短期的なプランしかない。
もしくは、痩せていないと生きる意味がない。
と思い込んでいる。

この考え方が悪いわけではありません。

 

でも、この考え方だと歳を重ねるごとに、不安と怖れしか出てきません。

なぜなら、摂食障害って、めちゃくちゃ体力消耗するから。若い頃は、そこそこ体力があって何とかなってしまう。でも、だんだんと疲弊してきます。

私のクライアントさんに、40代、50代、60代の方が多いのは、摂食障害習慣から抜け出せないまま歳を重ね、この生活をやめないと生命危機を感じている方が多いからです。

摂食障害歴が長くなればなるほど、抜け出すことに抵抗があります。

 

でもね、この記事を読んでいる今が、克服するタイミングとしては一番若いことになります。分かりますか?

 

もっと早く!とか、もっと若い頃に!とか、もう過去です。今、気付いてください。今、改善のために行動してください。

大丈夫だから。ちゃんと治るから。どうかスルーしないでください。

さいごに

ダイエットと摂食障害の違いは、心と脳の違い。

 

私のクライアントさんの多くは、摂食障害が治ったらもう二度とダイエットできない!と思っている方ばかり。

 

そんなことありません。ダイエットしたかったらすればいい。

「ダイエットしたら、また摂食障害に戻ってしまうかもしれない…」と思うから怖いのですよね。

お気持ち痛いくらい分かります!!

 

ちなみに私は、摂食障害を治そう!と思った時の体重が47kg。

治ってからの体重は、49〜53kgです。生理前は太るので、かなり変動します。

 

この体重がどうとか、50キロ台はあり得ない!とか思うのは自由です。

 

でも、私は今がベスト体重だと思っています。

早寝早起きできるし、好きなものを食べているし、やりたいことをやっているし、自分がやりたい仕事をしているし、主人ともケンカしないし、親とも素敵な関係だし、周りの人に恵まれているし。

 

摂食障害の頃には感じたことのない幸福感に浸っています。摂食障害で苦しんだ時代があるからこそ、実感できることです。

 

これは自慢ではなく、みんなに味わってほしい。

 

私のクライアントさんの中には、すでに克服して、次のステップに進んでいる方もいます。

摂食障害だった過去を生かして、人を癒す仕事をしている方もいる。
プライベートで人生のパートナーを見つけた方もいる。
家族のために、料理教室に通うようになった方もいる。
諦めていた海外留学をして、資格取得を目指している方もいる。
不妊治療をして、赤ちゃんを生んだ方もいる。

 

摂食障害に費やしていたエネルギーを他のことに注ぎ込むと、びっくりするほど進化します!私はサナギから蝶になる姿をイメージしていますが。

摂食障害になる方は、もともとエネルギーが強いから、あらゆる業界で羽ばたく方が多いです。

 

どうか、今の感覚に負けないでください!!

 

ダイエットはいつでも出来ます。
治ってから理想体重になった方もいます。

私の場合、理想体重の概念すら忘れてしまいました。たまに体重計のある温泉に行って、「ああ、今はこのくらいなんだ」と思う程度です。

 

大丈夫ですよ。

ちゃんと感覚は戻りますから。