脱!摂食障害カウンセラーの三上さくらです。
この記事は、
・過食嘔吐が習慣化している方
・頻繁に絶食・欠食をしている方
・太るくらいなら摂食障害のままでいい!と思っている方
このような方に向けて書いています。
昔の私も、太ることが怖くて。体型が崩れることが怖くて。
嘔吐やめたら太るに決まってる!きっと激太りするんだ!肥満体型は死んでもごめんだ!そんなの絶対に嫌だ!耐えられない!と思い込んでいました。
そんな歪んだ考えから抜け出す方法をご紹介します。
何かヒントがありますように。
はじめに
「普通の食生活になったら、どこまで太るのか怖いです。」
このような内容の相談(というか不安)がとても多いのですが、この言葉を聞いて、昔の自分を思い出しました。
過食嘔吐をしなかったら太るに決まってる。今だって、食べても吐くことによってギリギリ維持できているのに、食べものを100%吸収するなんてあり得ない。
痩せたいのに。
きっと、過食嘔吐しないとダメに決まっている。普通に食べたら太るもん。太るくらいなら、過食嘔吐を続けたほうがマシかもしれない…と思っていました。
「やめたい」と思っている自分と、「やめないほうがいい」と思っている自分。この二人の自分の闘いは数年間続きました。
本当に怖いことは何か?
まず、何が怖いでしょうか?
太ること?
体型が崩れること?
洋服が入らないこと?
自分に価値がなくなること?
これね、私もそうだったのですが、本当に怖いことを見ないふりしていませんか?
歳をとったら。
家族がいなくなったら。
破産したら。
寝たきりになったら。
「そうなったら死にます。」
と宣言する方も多々いらっしゃるのですが、本当に本当に心の底からそう決意しているのなら、この記事は読んでないだろうし、私に連絡もしないのだと思います。
そして、本当に怖いことを見ないふりしているから、「怖い怖い」と言って思考停止になってしまう。というか、本当に怖いところを認識してしまうのが怖いんです。認識しちゃったら、怖いことに立ち向かわないといけないから。
子供の頃って、一人でトイレに行くのが怖かった。おばけが出るかもしれないから。おばけが出たらどう対処したらいいか分からない、出るか出ないか分からない、漠然としている、目には見えない。だから怖かった。
霊感が強くて感じる人もいると思いますが。大人になって、そんなものに怯える必要がない!と分かってくると、怖がらなくなると思います。
摂食障害も同じ。
漠然と怖い。どう対処したらいいか分からない、というか何度も挫折したから怖い。目には見えない。自分でコントロールができない。おばけと同じで、そんなものに怯える必要はない!と思っていると、だんだんと怖くなくなります。
あと、直近で太る(体重が増える)ことよりも、長い目で見た時のほうが怖い!ということを認めると、
「じゃぁ、どうする?」
と次のステップに進むことができます。
「太る」という言葉の定義
「太るとは◯◯である。」
具体的に考えたことはありますか?
太るとは、今より体重が増加する。見た目がふっくらしてくる。そんな感じ?
洋服のMサイズ、スーツ9号、11号、と聞いても太っていると思う人がいます。日本の標準体重はあり得ない!と思っている人もいる。
みんなそれぞれ思っている基準が違うので、そこを明確にしておいてください。
次に、太っている人とはどんな人をイメージしますか?
日本人の女性芸人さんには、ぽっちゃりスタイルの人もいらっしゃいます。スポーツ選手の中には、たくましい体付きの女性もたくさんいます。水泳やレスリングの選手は、肩幅もがっちりしています。
このような人達を、太っていると思いますか?
おそらく、多くの方が「別にいいのでは?」と思ったはず。
うん、別にいいよね〜
でも、自分は違う。自分がその体型だったら許せない。
とか思っていませんか?
それって、ある意味、失礼ですよね。
「あなたの体型は別にいいと思うけど、あなたの体型にはなりたくないわ」
と思っている。これは軽蔑ですよね。
体型は、何を大切にするかによって違いが出てきます。
自分が目指すものに最適な肉体が備わってくる。
摂食障害は、目指すものを無視して、体型ファーストになっている。
「◯◯ファースト」とは、何よりも大切にすることを、自分で決めることです。
健康ファーストの人は、過食嘔吐しません。
普通の食生活ファーストの人は、暴飲暴食しません。
女性芸人さんは、お笑いファーストだから、いかに面白いか?を追求します。
女性アスリートは、強者ファーストだから、いかに勝てる身体を作るか?を追求します。
摂食障害の人は、体型・体重ファーストだから、いかに痩せるか?を追求します。
モデルさんは、体型・体重よりも、人気ファーストだから、いかに魅力的になるか?を追求していると思います。だから、摂食障害にはならない。「人気=体型」だと思っている方は、なると思いますけどね。
太り続けるという呪い
摂取カロリーが消費カロリーを上回り続けたら、そりゃ太ります。当たり前です。
その状態が永遠に続けば、きっと肉体の限界まで太り続けると思います。私は限界に挑戦しませんが。
摂食障害になるほど、体型や体重やカロリーを気にしている人が、毎日毎日365日、ずっと永遠に摂取し続けるのかな?と考えてみてください。
たまたま食べ過ぎた日があった。
次の日は調整した。軽いストレッチや運動をした。
そういうの全くやらないつもりですか?
摂食障害の人は、調整期間が短時間過ぎるのです。
今日食べすぎたものは、今日のうちに嘔吐したり、下剤を飲んだり。摂食障害が改善(思考が変化)してくると、一週間単位、一ヶ月単位で調整ができるようになります。
週末は飲み会で飲み過ぎ、食べ過ぎ傾向にあるから、平日は食事をヘルシーにしたり、エレベーターではなく階段にしたり。晩酌の回数を減らしてみたり、ジム通いしてみたり、生活にヨガを取り入れてみたり。
そういうの何にもやらないつもりですか?
超意識高い人なんだから、絶対にやるでしょ!!!
さて、考えてみてください。
上記のような調整をする人が、死ぬまで太り続けるでしょうか?
たぶん、思い込んでるだけですよね。白黒思考で考えちゃうから、今(一番痩せている状態)と肥満の究極でしか捉えられていないだけです。
体重増加に耐える思考
・漠然と怖がっているものの正体
・体型・体重ファーストの考え方
・長期的なライフスタイルの調整
ここまでのことを頭では理解できたと思います。
残る問題は、摂食障害行動が減ることと体重がじわじわ増えることが共存する期間が長いことです。
ここが摂食障害の恐ろしいポイント。
この共存期間が長いから、ほとんどの人が我慢できなんです。基本が、白黒思考(極端思考)だし、ゼロか100の世界だから。
今がゼロだとすると、すぐに100まで到達しないと諦めてしまう。
冷静に考えてみれば、長期的に考えるほうがいい、普通の食生活で健康的になるほうがいい、そんなこと百も承知だと思います。
でも、耐えられない。
だから思考を変えるんです。
慣れ親しんだ習慣に戻らないために
私のメソッドは、思考を変えて、行動を変えて、習慣を変える。
このステップ通りに変わっていかないと、必ずリバンドがあります。
行動を変えることは簡単ですが、えいや!と力技なんですよね。だから継続できない、もしくは毎回気合が必要で疲れる。疲れると、元に戻ってしまうので、これを「やっぱりダメだった」で片付ける人が多いです。
さらに、習慣は努力で変えようと思っても変えられません。表面上は変わると思いますが、習慣って無意識なんです。
例えば、歩行とか呼吸って、ほぼ無意識だと思います。他にも家の鍵を閉めたり、トイレの電気をつけたり、歯を磨いたり、無意識にやっていることってありませんか?
全て意識してます?
歩行だったら、右足を30センチほど前方に出して、同時に左手を前に振る。その間に体重を真ん中に移して…って考えませんよね?
カバンの中に入っている自宅の鍵を取り出して、鍵穴に入れて、左に回す…
夜、トイレに行って、扉を開けて右側の壁の肩の高さくらいの位置に手を伸ばして電気のスイッチカバーを手探りで…
歯ブラシを手に取り、歯磨き粉を2センチほど出す。口に入れて、左下の奥歯を10回ほどゴシゴシ磨いて、上の歯も…
って、考えないでしょ!!!超めんどくせぇ!!!疲れるわっ!!
こんな感じで、習慣って無意識なんです。
だから意識的に、考えていることを変えることが大切です。
で、過食嘔吐している時って、摂食障害思考が働いて無意識にやってる。この無意識の行動がコントロールできないから、怖くなるんです。だって、意識ないから。人は意識できていないことをコントロールすることはできません。
「怖い」という言葉は、ここからも来ています。
では、どうするか?
意識を変えることができれば、無意識の習慣も変わります。
無意識の習慣の対応方法
ここでやっとはじめに出てきた「普通の食生活になったら、どこまで太るのか怖いです。」という言葉の意味を意識して捉えることができました。
今までの習慣(経験してきたこと)に戻ってしまうから怖い。
摂食障害思考のほうで無意識にしていることを、
「違うよ〜そうじゃないよ〜」
と教えてあげるためには、再教育が必要なんです。
家を留守にする時は、鍵をしめるんだよ〜
部屋が暗かったら、電気を付ければいいんだよ〜
虫歯にならないように、歯を磨くんだよ〜
って、近くにいた大人が教えてくれたと思います。
大人になった今、手取り足取り教えてくれる人がいないから、自分でやる。それだけ。
自分とは、健全思考の自分です。
健全思考について、詳しく知りたい方はコチラ。
健全思考を褒めて伸ばして鍛える。
その健全思考に、摂食障害思考を再教育してもらう。そんなイメージです。
「ただ漠然と怖がることないよ〜」
「摂食障害思考に負けないで!」
「太り続けるはずないよね〜」
「普通の食事になっても肥満にはならないよ」
このような言葉を、常に自分に語りかける。
過食したい時だけじゃなくて、調子がいい時も、朝起きてすぐも、寝る前も、歩いていも、どんなときも刷り込んであげる。
その量が多ければ多いほど、思考は今まで無意識で思っていたことと入れ替わってきます。
大切なことは◯です。
思考が入れ替わる方法は、自分に対して語りかけること。
摂食障害になる人は、みんな真面目なので、言われたらやる人が多いと思います!
が、ここであることが抜けていると、なかなか変わってくる実感がありません。
それは・・・
愛です。
教育って、その子のためになると信じてやるものだと思います。
子育てが分かりやすいのですが、自分の子供を想うからこそ、あれこれ言っちゃうもんですよね。たぶん。(私には子供がいないので)
まぁ、「子育て」というと、「私の親は最低です!」って反論されちゃう場合が極稀にあるので、一般的に考えてほしいのですが(笑)
子供に限らず、後輩とか、自分より年下の人に対して、その人のことを真剣に考えて、その人のことを大切に思って、その人にもっと幸せになってもらいたい!と思ったら、ちょっと嫌なことでも伝えたり、その人の弱いところをあえて指摘したりする。それって、愛があるからですよね。
愛がないのに文句言ってたら、ただの嫌な人。摂食障害になる人は基本が八方美人なので、きっと愛のある言葉を伝えているはずです。
でね、摂食障害思考に支配されていると「自分なんてダメダメだ!最低だ!クズ人間だ!」と自分責めしているんです。これって、愛がありませんよね。他人に対しては愛のある発言ができる人も、自分に対しては愛のない発言をしていることが多々あります。
今まで、自分に対して愛のない言葉を発していませんでしたか?
私は摂食障害になる前から、自分で自分を罵倒して貶めていました。はじめは叱咤激励だった気がします。
「お前はもっと出来るはずだ!」
「もっと頑張れ!死ぬ気でやれ!」
ってね。この言葉が無意識でつぶかれるようになって何が起きたかというと…
今の自分はダメ!!!
になっていたんです。
今の自分では足りない。もっと凄くならないと。上には上がいる。という感じで、自分を認めない。今の自分のままではいけない!と完全に否定になっていました。
この状態では、「怯えて、やらされてる感」満載になってしまい、怖い思考がじゃんじゃん貯まってしまいます。
これでも教育はできると思いますが、本当の幸せは手に入るでしょうか?摂食障害が治ったとしても、他の怯えるような怖い現実があらわれてしまいそうです。
さいごに
再教育って、すぐにできると思いますか?
何度も何度も教えてあげて、
何度も何度も失敗を繰り返して、
何度も何度も練習して、
やっと出来るようになる。
そこからしばらくは意識的に実践する。
何十回か何百回かやると、
それが普通になって、
無意識でもできるようになる。
だからね、時間がかかります。
ここを待てないと、摂食障害からも抜け出せません。
そのことを知っていてください。はじめから出来る人はいません。どんなに器用な人でも、他のことはすぐにできる人でも、摂食障害についてはダメな時のほうが多いです。
すぐに出来たら、こんなに何年も食に支配されていません。
だから、焦らない。
すぐに出来ない自分を責めない。
昔、ダンス講師をしていた時代。すぐに出来る人よりも、なかなか出来なくて必死に頑張っている生徒さんのほうが愛おしいと感じました。
「ダメな子ほど可愛い」
って、聞いたことありませんか?
わざわざ自分をダメな子認定する必要ないけど、すぐに出来なくても愛してあげてください。そうしたら、ちゃんと育ちます。