毎日過食嘔吐しないために気を付けていた21の行動

脱!摂食障害カウンセラーの三上さくらです。

15年間摂食障害だった私は、「食」に支配される時間を極力減らすことが改善への最短ルートではないか?という仮説を立てて試行錯誤の日々を送っていました。

摂食障害中は、食べること、体重や体型、カロリーから解放されたい!と切に願っていました。しかし不思議なことに、もう考えたくない!忘れたい!止めたい!と思っているにもかかわらず、そのことばかり考えてしまいます。

植木理恵先生の『シロクマのことだけは考えるな!』が分かりやすいのですが、「シロクマのことだけは考えるな!」と言われると、あなたはどう思いますか?
「え!?シロクマ?今まで考えたことないよ!何!?」
「どうしてシロクマのことを考えては行けないんだろう」

忘れようとすればするほど考えてしまう心理。摂食障害も同じだと思います。過食嘔吐のことなんて考えたくない!と思えば思うほど考えてしまう。

そこで私が実践した方法は、今までやったことのないことを試してみる。普段の生活の中で、この1点だけを意識してやってみたのです。

簡単にできることは、いつもと違う道を歩く、いつも行かない場所へ買い物へ行く等。家から出たくない日は、絵を描いてみる、水回りをピカピカにしてみる等、地味な行動を続けていました。

さらに、過食用の食事を変えてみるのも効果的でした。私の場合、どうせ吐いてしまうので「割引商品」狙いでした。本当に食べたいものを食べるのではなく、安くて吐きやすいもの優先。当時は、本当に食べたいものなんてありませんでした。ただ詰め込んで吐き出すだけ。グルメでもないし、こだわりもない。だからこそ、いつもと違うものを選ぶようにしてみたのです。

結果、その日も過食嘔吐をしました。やっぱりね。そんな簡単に治ったら15年もこじらせてません(笑)

でも、いつもと違う何かをすると、習慣化されてしまった行動を変えるきっかけになります。つまり、食材購入⇒過食⇒嘔吐の流れを一瞬でも断ち切ることができるのです。

このように今までやったことのないことを試す日々が何年も続きました。そして私が実践した中で、より効果的だと思える21の行動をご紹介しようと思います。

簡単に取り入れられる行動

過食スイッチが入りそうになったら、まずは思い出してみてください。はじめは行動までいけないかもしれませんが、だんだん出来るようになります。ただし!ここに書いてある行動が出来たとしても過食衝動がストップするわけではありませんのでご注意を。私にとっては、これらの行動によって習慣が変わるきっかけ作りになった、ということです。

深呼吸をする

どこでも出来るので、超おすすめです。過食用食材を購入しそうになった時も深呼吸していました。結果、深呼吸しても買うのですが(笑)小さな抵抗を何度も繰り返すと大きくなります。継続は力なり。はじめから何もしないで諦めてしまうよりマシだと思います。克服して3年が経過しましたが、今でも深呼吸は大切な習慣となりました。

空を見上げる

これは晴れている日におすすめ。空を見て、広いな〜青いな〜と涙が出たことがあります。それまで、あまり空を見上げたことがなかったので、自分がちっぽけに思えたのです。そして、そんな自分の悩みもちっぽけに感じました。海でもいいと思います。私が住んでいる地域には海がないので。

ハンドクリームをぬる

あまりにも女子力が低く、普段からハンドクリームをぬる習慣がありませんでした(笑)過食嘔吐が酷くなってからは、香りが強いものを選んでいました。手を突っ込んで嘔吐していたので、口に入れた時に違和感があります。その違和感が嘔吐への気持ちを一瞬だけ断ち切ってくれました。どうせ吐くのですが、この地味な抵抗感が習慣を変える一歩になったと思っています。あとは嘔吐した後のニオイを隠すため。爪の間のニオイは石鹸では落とせませんでした。

念入りに洗顔をする

これも女子力が高い方には何を言っているの?と思われるかもしれませんが…自分の顔を丁寧に洗っていると、自分が大切なものに思えてきたのです。柔らかくて繊細で壊れやすくて。もっと大切にしてあげなきゃ!と思えました。ありのままの自分が愛おしく感じるのは、もっとずっと先のことです。

ストレッチをする

ヨガとか素敵なもんじゃありません。腕を伸ばしたり、前屈したり、その程度です。今、どの筋肉が伸びてるのかな?ここの筋が気持ちいいな〜身体って繋がってるんだな〜と感じればOKです。内臓も繋がっているということに気付けたらより最高ですね。

英語で日記を書いてみる

私は英語が苦手です。海外遠征の時はジェスチャーで乗り越えてきました。英語では難しいことが伝えられないので、単純明快なフレーズしか出てこないんです。だから中学生英語みたいな日記を書いていました。

Today was fun!I saw a movie with my friend,Pizza was delicious!

なんじゃこりゃ(笑)
でも、日本語で書いたとしたら…

今日は友だちと映画を観た。一緒にピザを食べて過食スイッチが入りそうだった。苦しかった。早く映画が終わればいいと思った。友だちが帰ったら何を食べようか迷っていた。自分の思考が醜くて、こんな自分が大嫌いだ。

こんなふうに感情丸出しのネガティブ発言連発。だから、わざと英語で書いていました。英語が得意な人より苦手な人に実践してみてほしいと思います。

持ち物の点検をする

断捨離が趣味なので、自分の持ち物をひとつひとつ吟味して、どのくらい減らせるか考えていました。どうして大切に持っているんだろう?と考えたり、手に入れた時のエピソードを思い出したり。洋服や食器などもリスト化して断捨離するか検討していました。私にとっては、お手軽な現実逃避です。

気が向いた時に試してほしい行動

いつでもどこでもやるというより、ふと思い出してほしい行動です。誰も見ていないけど、自分だけが知っている丁寧で特別な行動。儀式のように堅苦しいことではなく、当たり前のことをやるだけ。それだけなのに、自分がとても誇らしく感じました。摂食障害は私の中の一部であり、他の部分は健全なんだと知って勇気が出てきました。たまには自分を褒めてあげてください。

履物をそろえる

どこかにお呼ばれした時やお客様が来た時だけ履物をそろえていた私は、自分の家でもそろえるように心がけました。誰に見られているわけでもありませんが、帰ってきて、履物をそろえると、自分が丁寧に暮らしている気がして清々しい気分になれました。

洋服の手入れをする

私にとっては、過食1回分くらいの洋服ブラシを購入しました。そして、あらゆる洋服をブラッシングしました。心が整う気がして気持ちよかったのです。今でも洋服のブラッシングは楽しみの一つです。

爪の手入れをする

子供の頃から爪噛みをする癖があり美しい手に憧れていました。手足の爪をネイルサロンに行ったみたいに綺麗にすると、心が晴れやかになりました。自分の手を労わってあげると、嘔吐の時に酷使したくない!という気持ちが出てきたのです。これも小さな一歩だったと思います。

頭をマッサージする

頭を柔軟にするために、外側もマッサージしていました。表面がほぐれていくと、何となく内側も柔らかくなる気がしていました。指で揉むと痛くなってしまうので、グーにしてグリグリしています。目をつぶって揉んでから、目を開けると視界が広がるから不思議です。

ボディブラッシングをする

乾布摩擦の代わりに。過食嘔吐が酷い頃は、皮膚がカサカサして白い粉が待っていました。きっと油分が足りなかったのかもしれません。その頃からボディブラッシングをするようになって肌が強くなった気がします。たまにオイルを塗ってお肌をマッサージしています。最近は、好きな映画を観ながら全身をメンテナンスしているので、とても贅沢な時間だと感じます。

大型本をめくる

これは図書館に行った時です。美術書や地図などの大型本をめくって隅々まで観察してみると、よく作ってあるな〜と驚きました。いつもと違う視点という意味で、面白いですよ。

手紙を書く

誰に??と思うかもしれませんが、私は過去の自分と未来の自分に書いていました。大切なことは、「今の自分」がいる時間軸から離れることだと思っていたので。実際に手紙を出してもいいと思います。実家の両親、学校の先生、昔好きだった人など。メールではなく手紙ですよ!

クラシック音楽を聴く

クラシックに限らず、歌詞のない曲を聴くのが好きなので。映画サントラやリラクゼーション音楽を聴いていました。目をつぶって音楽に耳を傾けると、優雅な気分に浸れます。普段、静かすぎる空間に負けてBGMとして流しているので、音楽にだけ集中する。曲のイメージを空想する。すると不思議なことに、どんなに最悪な気分になってもその曲を流すと前の情景を思い出して、心が引き戻されます。摂食障害衝動に打ち勝つ音楽を見つけると、改善スピードがアップします。

何もしない日を作る

実は、これが一番苦手かもしれません。何もしないって何をするの?と思っていました。私は仕事でも家事でもTODOリストを作って、全てクリアすると安心するタイプなので、TODOリストのない一日は想像できませんでした。でもね、TODOリストがないと、自由なんです。何をやってもいいし、やりたくないことは後回し。お昼からビールを飲んだり、漫画三昧の日があったり。なんて贅沢なことでしょう。

絶不調の時こそ思い出してほしいこと

摂食障害の厄介なところは、波があることだと思います。調子がいい時は全てがスムーズに進むのに、いったんダークサイドに堕ちると恐ろしくマイナス思考になってしまいます。そんな時だからこそ、思い出してほしいことを5つお伝えします。

筆ペンで文字を書く

筆ペンはマイブームだったのかもしれません。水彩筆ペンを買って、文字も絵も図形も表も全て書いていました。いろんな色を使ったり、頭の中に浮かんだものを見える化する作業をしていました。この作業をするだけで落ち着くので、今でも思考整理には必需品です。

棺桶リストを作る

映画『最高の人生の見つけ方』の原題が、“The Bucket List”(棺桶リスト)と言います。死ぬまでにやりたいことリストのことです。主演はジャック・ニコルソンと、モ―ガン・フリーマンの泣かせる映画でした。この映画を観て、過食嘔吐している場合じゃない!ということに気付きました。

PCやスマホのデータを整理する

写真、メモ、お気に入り登録、電話帳、履歴などあらゆるデータが蓄積されたPCとスマホ。中身を整理すると、思考や人間関係も整理されます。そして不必要なデータを削除した後の爽快感は、過食嘔吐後のスッキリ感に似ていたのです。普段から整理している方だとは思いますが、ここで大切なことは削除した後悔をしないこと。もっと素晴らしいデータが残るように、場所をキープしたと思うこと。

聖書を眺める

母がクリスチャンなので。父には理解されていなかったので、母はこっそりクリスチャンでした。母は私に無理やり読ませたことはありませんでしたが、ある日、聖書をめくってみました。世界で一番読まれている本。永遠のベストセラー。その謎が気になったので読んでみました。正直、理解できないことばかりでしたが、心の支えになる素敵なフレーズもたくさん散らばっていました。

自然と触れ合う

土の上を歩いてみる。木を触ってみる。落ち葉を拾ってみる。なんでも構いません。この世に存在する全てのものはエネルギーです。自分の負のオーラを浄化してもらうかのように自然エネルギーに触れてください。自分ではどうにもできなかったことが紐がほどけるように解決するかもしれません。

余談ですが、私は会社員時代に都内勤務でした。毎日の通勤ラッシュにうんざりして、人混みにイライラして、呼吸は浅く、休みになると自然を求めていました。だから自然があるところに住みたい!と誓いました。スローライフを送っていると、毎日が浄化されます。ここには、私の心に黒い沁みを残すものは何もありません。

さいごに

私には「小さなもの一つ一つに愛を持って接し、日常に溢れる幸せを大切にする」という女性的なエネルギーを持った天使が付いているそうです。その話を聞いてから「日常」というフレーズを大切にしています。

ここでお伝えしたことは、当たり前のことがたくさん書いてあります。

ですが、とある魔法の言葉を添えてあげると、とっても素敵なことに変化します。それは、「いつもよりちょっとだけ丁寧に」というフレーズです。ひとつひとつを大切に意識していると、過食嘔吐している時間が馬鹿らしく感じるのです。

自分がやってみたいと感じたもの、これなら今すぐ試せるかもしれない!と思ったもの、どんなことがあるか眺めてみる、自分だったらこんなことをやりたい!と書き出すなど。少しでも気持ちが楽になるための方法を見つけてください。

あなたの頭の中から摂食障害のことを考える時間が減りますように。