脱!摂食障害カウンセラーの三上さくらです。
私は15年間、摂食障害でした。長く苦しい闇の世界を彷徨って、やっと克服することができました。今になって気が付いたことがあります。
それは、
摂食障害になりやすい性格がある。
摂食障害を乗り越えやすい考え方がある。
という2点です。
まずは、ご自分が摂食障害になるやすい性格かどうかチェックしてみてください。
自分の性格チェック
これは私自身が感じたことですが、私のクライアントさんも必ず10個以上のチェックが入ります。あまりじっくり考えずに、サクサク答えてみてください。全部で20個あります。
・頑張り屋さん
・人に認めてもらいたい
・他人の目が気になる
・コンプレックスがある
・完璧主義と言われることがある
・学級委員をやっていた
・部長や生徒会をやっていた
・バリバリ運動部だった
・勉強ができるほうだった
・自分に厳しい性格
・長女
・親からの愛情が足りないと感じることがある
・どちらかと言うと真面目な性格
・正義感が強い・曲がったことが大嫌い
・人に頼るのが苦手
・勝ち負けにこだわる
・自分のいいところが分からない
・ネガティブ思考になりやすい
・ひとり反省会とかする
・「すみません」が口癖
いくつチェックが付きましたか?多くの方が「分かる分かる!」とおっしゃいます。
このチェックが10個以上の場合、摂食障害になりやすい性格だと思われます。それでは、どうしたらいいのか?この摂食障害になりやすい性格を知った前提で、ちょっと私のことをお話させてください。
昔の私の考え方
私はもともと責任感の強いタイプだったので、「人に厳しく、自分にもっと厳しく」精神で生きていました。その厳しさが摂食障害を長引かせる最大の原因だったと思います。
マイルールにがんじがらめになって、自分が決めたルールを破る自分が許せないのです。
昔の私の自分に厳しい人のイメージは、
・立ち姿が凛としている
・他人に振り回されない
・自分の意見をもっている
また、ルーズなことへの嫌悪感が半端ないので、
・何事も曖昧にしない
・何かに依存されない
・自己責任で行動する
これらができる人が素晴らしい!と思っていました。こうなるために頑張らないと!と努力するタイプでした。
しかしながら、当時の私はどうでしょう。
・不健康そうな見た目
・他人(特に異性)の視線が怖くてたまらない
・一般には理解できないマイルールを持っている
・異常な食生活を隠すために嘘ばかり
・過食から逃げたくてアルコールやタバコに逃げる
・現実逃避ばかりしている
理想と現実がかけ離れていることに許せない。それがストレスになる。どんなに変えようとしても埋まらない差にイライラばかり。ストレスはたまっていく。そして過食。太りたくないので吐く。過食嘔吐に対する自己嫌悪にストレスを感じる。
こんな負のスパイラルに陥っていました。
本当の理想の人物像とは
ふと、理想の人物像はセルフコントロールができる人のことじゃないのか?という考えになりました。
本当にセルフコントロールできる人は、そもそもむちゃ食いしない。吐くことは異常だと分かっているので、そもそも吐かない。
セルフコントロールできたら幸せだろうな…食べ物を摂取することを自制できたら、どんなに素晴らしい人生だろう。
そして、自分に対してこんな質問を投げかけました。
自分に厳しすぎないか?
向上心が強すぎないか?
完璧主義ではないか?
どれも悪いことではないと思っています。でも、理想のレベルが高すぎて現実とのギャップに苦しんでいないだろうか?
そして同時に、摂食障害の部分はあるけど、全てをネガティブになる必要はないのかもしれない。摂食障害は、私の一部であって全てではない!と頭で理解できるようになりました。
では、どうして全てが悪いように感じてしまうのか?
それは白黒思考になっているからだと悟ったのです。
雪のような白と闇の黒しかない世界では、摂食障害というダークな部分を含む自分は決して白ではない。だから黒になってしまう。黒としか判断できない。
これでは、ちょっとした汚点があると全て黒になってしまいます。
でもね、世の中にはグレーという色もあるのです。
グレーという考え
私は曖昧が大嫌いだったので、優柔不断、不明確、いい加減、辻褄が合わない、矛盾に対して非常にイライラしてきます。
「どこに行きたい?」
「どこでもいいよ〜」
「何が食べたい?」
「何でもいいよ~」
こういう人が大嫌い。
そんなんだから女子が面倒くさい生き物だと思われるんだよ!世の中の女子は馬鹿なのか。何でこんな女がモテるんだよ!とドス黒い思考が私を支配していました。もちろん男性にもいますよね。
「判断ができないこと=中途半端=愚かである」と勝手に決めつけていたのです。
そのため、自分自身には
「白黒はっきりしろ!」
「YES、NOどっちだよ!」
という極端な答えばかりを求めていました。
それは摂食障害には最悪のジャッジでした。
つまり、一口でも胃に固形物を入れたらNO!胃に入れたモノは全て出さなければNO!そんなマイルールが出来上がってしまったのです。
0と100の間には、30だって、50だって、99だって存在しているのに…
私の頭の中には、0と100しか存在しませんでした。だから、たとえ一口だとしても100と同罪なのです。
0.1でも許せない。
当時の私は、とても息苦しい想いをしていました。
克服した今だからこそ思うこと。それは、世の中には白と黒の間のグレーゾーンが至る所に存在している。悪い意味ではなく、良い意味で!ということです。
良い意味のグレーとは
グレーに良いも悪いもない!妥協だ!と思っていた私は、グレーゾーンを逃げ道だと思っていました。だからグレーの部分を考えることすら許せませんでした。なぜか誰かに何か言われそうで…漠然と怖がっていました。
摂食障害で考えてみると、「白が食べない、黒が食べる」「白が食べて吐く、黒が食べて吐かない」と極端になってしまいます。だってグレーがないのですから、全てのことが二択になってしまうのです。
これは私の経験談ですが、私が逃げると思い込んでいた行為は、世間一般では逃げるとは言いません。
選択肢が多いと言います。
今、摂食障害で苦しんでいる方に是非考えて欲しいことがあります。
「食べるか食べないか」だけで判断したことはありませんか?「食べないか食べて吐くか」という究極の選択になっていませんか?自分の考え方が、白黒思考になっていると思いませんか?
この感覚で、ちょっと過去のことを思い出してみました。
昔の自分を振り返る
私は中学生の頃、転校先の学校でいじめられていました。非常に質の悪い奴らに目を付けられたからです。男子からも女子からも無視されて、本当に苦しくて死にたくなりました。
ここには書けないくらい悲惨な状態で、登校拒否になり、田舎の学校に転校しました。
私って可哀想な子。
いじめられて大変だったの。
惨めな経験がトラウマになってしまったと思うんです。顔面・体型コンプレックスは、いじめが原因だと思うんです。可哀想な自分を補うために、過食してると思うんです。過食嘔吐してしまう私なんてダメ人間なんです。
こんなふうに思っていました。過食の正当化です。
ちょっと待って!!
なぜ、当時のいじめられた経験だけで、なんで人格否定までしちゃってるの!!
いじめ以外にもありますよ。
弟がいたから、親にかまってもらえなくて寂しかったんです。共働きの両親のせいで、愛情を注いでもらえなかったんです。綺麗な姉ばかりが可愛がられて、私は愛してもらえなかったんです。だから、寂しさを埋めるために過食してしまうんです。
ちょっと待って!!
なぜ、愛情が少なかった記憶が、摂食障害を正当化しちゃってるの!?
他にもありますよ。
離婚したから生活が大変なんです。小さい子供がいるから大変なんです。摂食障害が治らなくて大変なんです。
ちょっと待って!!
なぜ、今の状況が全て大変に直結しちゃってるの!?大変じゃない部分も、きっと少しはあるよね!
全て、白黒思考。
1つがダメだと、全てがダメだと思い込む。
1つでも汚点があると、汚点を隠そう、補おう、と必死になる。
1つの状況が、全てのことのように感じて大きな事にしてしまう。
こんなことって、ありませんか?
苦しかったこと、悲しかったことばかりを思い出して、摂食障害行動をしている自分を正当化しようとしていませんか?
両親や環境、自分では変えられない何かのせいにして、摂食障害行動をしている自分を正当化しようとしていませんか?
ああだったから、こうだったから、だから全てダメ!と決めつけていませんか?
同じような経験をしたとしても、全員が摂食障害になるわけではありません。
全てはあなたの考え方・捉え方次第なのです。
まとめ
摂食障害になりやすい性格とは、完璧主義、頑張り屋、正義感が強い、曖昧が嫌い、という個人的には非常に真面目な方が多いと思います。
そして、摂食障害を乗り越えやすい考え方とは、白黒の極端思考で考えない、選択肢がたくさんあることを楽しむ、そんな人が早いスピードで回復しています。
いかがでしょうか?
まずは、自分の考え方を知る。認める。
次に治りやすい考え方になる、思考を変える努力をする。
あとはひたすら練習をするしかありません。
だって、もう何年も摂食障害に振り回されているんですから。そう簡単には変わりませんよ。
逆を言うと、時間をかけて変化した思考は、そう簡単に元には戻りません。つまり、そうそう再発しないということ。摂食障害から卒業したら、もう二度と元に戻ることはありません。